斎藤の小噺

漫画描きの日記

夜半②3

他人の動向で心を掻き乱されるのが本当に嫌だ

 

話した事は無く、お互い接点も無い。

こちらが一方的に相手に嫉妬しているだけ。

「同い年なのに向こうはもう連載を決めているんだ」と。

 

すごいイライラするしなんなら死ねばいいとさえ思う。その位嫉妬している。

妬ましい、羨ましい、殺してやりたい。

 

才能不在、凡人の自分には才能のある人間が本当に眩しくて仕方がない。目が眩む。

向こうは連載、こっちはデビューさえままならない。

自分の才能の無さに絶望し、相手の才能に嫉妬する。

それに、相手は見知らぬ人々にめちゃくちゃ応援されているし、とても好評なのだ。大勢に囲まれて胴上げされているように見える。

情けない。どこまでいっても自分は部屋の隅で埃を被り、世の中に愚痴垂れるルサンチマンでしかないのだ。

自分みたいな人間は一生誰かに受け入れてもらう事もなく、孤独に死んでいくのだろうか。

本当に嫌だ。なんで顔も知らない、名前も知らない、話した事も無いような人間に心掻き乱されなくちゃいけないんだ。

しかもそれを見て自分とあの人を比べていると誰かに内心で嘲笑されている気さえしてくる。

 

情けない。情けない。

 

自分のような凡庸凡夫の凡人に、あの世界に行く事は出来るのだろうか。